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手軽に利用できる絵本

日本人の感覚からすれば、明らかに私用電話の無駄話でも、彼らにとっては、妻や夫、あるいは子供との欠くべからざる、重要なコミュニケーションだというわけだ。
「家族のコミュニケーションを阻害して、もしそれが家庭の不和につながったら、会社はどう責任を取ってくれるのか」と食ってかかる者もいた。 私は、日系企業にも、イギリス系企業にも勤務した経験があるから、比べられるのだが、私用電話についてイギリスの企業は寛大だ。
妻からの電話も嫌な顔をせずに取り次いでやる。 たまに家族がクリスマスなどのパーティーで会社に来ることがあるので、同僚の家族とも顔見知りになる。
そうなると、次に電話をかけてくる時などは非常に親しげに、「ハイ、K。Cよ、元気?Bはいる?」と、同僚の奥さんが私をファーストネームで呼んだりする。 「Bは今、会議ですよ」「そう。じゃ、あとで電話するように言ってちょうだいな」という具合だ。
こちらが、夫の上司であろうが何であろうが、私用電話にこだわりはない。 無論、日本の企業ではこういうわけにはいかない。
あまり、妻から頻繁に電話がかかってくれば課長あたりから、「君、少し私用電話が多過ぎやしないかね」などと小言をくらい、ボーナスや昇進の査定に響くことにもなる。 イギリスに限らず、外国にある日系企業で難しいのは、このような場合、日英どちらの慣習や考え方に基準を合わせるか、という点だ。
対応を誤ると、経営側と現地社員との間に感情的な溝が出来、士気にも影響しかねない。 かといって、イギリス人社員の私用電話に寛大な態度をとると、現地一雇用の日本人社員から不満の声が起こる。
「経営陣はイギリス人社員を甘やかし、私たち日本人社員にきびしい」と彼らは言い出す。 同じ会社の中に、イギリス人社員には寛大で、日本人社員にはきびしいという「ふたつの基準」(ダブルスタンダード)が存在することになるからである。

日本の企業だからと、イギリス人社員であろうとも日本流のやり方を押し付けると、摩擦が起きる。 かといって、イギリス人と日本人社員との間で対応の差をつけると、たちまち不公平さが問題になる。
割り切って、完全にイギリス式で押し通そうとしても、日系企業の経営陣がもともとイギリス的感覚を持っていないのだから、中途半端な対応になってしまう。 私がシティの日系の銀行で管理職だった頃、部下のイギリス人をびしびししごいた。
時間にルーズな社員や怠けている社員をきびしく叱り、しばしば怒鳴りつけた。

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